“北東アジアは「危険な地域」なのか” (中央日報 2015年 02月 14日 )

中央日報

北東アジアは「危な地域」なのか

20150214日  

エマニュエル パストリッチ

 

米国の雑誌を読むたびに北東アジアが「危険な地域」と表現され、驚いたりする。おそらく好戦的な北朝鮮や韓日中間の歴史・領土紛争のため、大きなリスクが伴う地域という意味が込められているのだろう。

一部の記事はすでに北東アジアの危機を自明の真実であるかのように扱っている。例えば欧州の先進国の間では、多様な形態の地域機構が定着している。これとは違い北東アジアは多元主義基盤があまりにも脆弱であるため、露骨にリスクが多い地域とはいわないまでも、どこか未熟な地域という認識がある。

私は「アジア共同社会」を渇望する韓国のある外交官を知っている。以前に彼とお茶を飲みながら談笑したが、彼が話した内容は衝撃的だ。その外交官は最近、欧州連合(EU)のある外交官との対話中、北東アジアが欧州レベルの統合を実現するには何が必要か助言を求めた。すると、その外交官は無愛想にもこのような返答で質問者の意表を突いた。「何よりも欧州が犯した失敗を絶対に繰り返さないでほしい」。

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“誰も知らない北朝鮮の脅威” (ハフィントンポスト 2015年  02月  17日)

誰も知らない北朝鮮の脅威

2015年  02月  17日

エマニュエル パストリッチ

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私がここで述べようとする脅威とは、北朝鮮のテポドン大陸間弾道システムや北に配備されたムスダン・ミサイル、あるいはノドン・ミサイルのことではない。 また、北朝鮮の平壌における、国際社会と一旦接触するための緊張した瀬戸際の外交戦略における一つの方便としての、最近の核実験などについて言及するものでもない。

もちろん、北東アジアにおける軍備拡大競争の脅威は深刻であるが、人類はまた別の脅威に直面していて、その巨大な脅威はさらに大きな災害をもたらす可能性がある。したがって、私たちはそれに備え、戦略的な準備をはじめざるをえない。

また、その脅威は山林の乱伐と土壌の不適切な利用、無思慮な農法などの結果として生まれている北朝鮮の砂漠と半砂漠地帯のことである。かような生態学的死角地帯において、植物が生存もしくは繁殖するのはほぼ不可能である。

砂漠化が悪化するほど、このような生態学的な惨事が韓国および東アジア地域全体に深刻で取り返しのつかない影響を及ぼすことは、間違いない。

ソウル大学のキム・スンイル教授は、最近20年間、北朝鮮で100万ヘクタール以上の山林が失われ、ほぼ回復する見込みがないほどに土壌の機能が喪失させられた結果として、終わることのない洪水と干ばつが毎年起こっている、としている。

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“女性の商品化はもうやめよう” (中央日報 2014年 08月 30日)

中央日報

“女性の商品化はもうやめよう”

2014年 08月 30日

エマニュエル・パストリッチ

 

このように女性の容貌ばかり問う低俗な文化は非常に高い代価を支払う。時には自分の容貌に自信を失い、疎外感に苦しみながら、自殺を招いたり、執着する行動をしたり、幸せな家庭生活を営めない状況になったりもする。もう我々の社会も正常に戻らなければいけない。韓国社会で女性の役割がますます高まり、容貌やマナーより能力と情熱が女性を評価する基準となる文化を築かなければならない理由がそこにある。

そのためには何よりも性的なメッセージが入ったすべての広告を例外なく禁止すればどうだろうか。私たちの娘が成長しながらアイデンティティーを形成する過程で、こうした広告の影響を受けないようにする義務が、大人たち全員にあるのではないだろうか。無差別に露出する広告で単に酒やたばこだけを禁止すればよいというものではない。

にもかかわらず、非常に蠱惑的な女性のイメージがあたかも現代的な女性解放の象徴と見なされる韓国的な現実が残念だ。女性は自分の言葉と行動を通じて自らを表出し、自らつかんだもので評価される時が、本当の女性解放ではないだろうか。女性が自分を表現し、他の人たちと差別化しようという欲求が、衣装・化粧品・ヘアスタイルに傾く現実から抜け出す必要がある。市中にあふれるファッション雑誌を広げて見ても、筆者が何を言おうとしているのか理解できるだろう。

韓国の女性が男性の視線を意識するよう強い圧迫を受けることになれば、社会の発展に役立つ建設的かつ活動的な重要な役割に背を向けることになる。自分の実際の姿とは違うように見せようとするこうした圧迫感は、従来の文化を大きく歪めるのにとどまらず、皮相的で低級な文化につながる。1990年代に筆者が日本で勉強していた時期、韓国人の読書量は今よりはるかに多かった。それだけではない。あえて比較すると、日本人より容貌やぜいたく品などに対してはるかに緩い態度を持っていた。ところが最近の韓国人、特に若い女性を見ると、こうした傾向が完全に逆転したという考えを否めない。

“東アジア、武器よさらば” (中央日報 2014年 11月 24日)

中央日報

“東アジア、武器よさらば”

2014年 11月 24日

エマニュエル・パストリッチ

交渉は核兵器だけでなく軍備縮小に関する一連の交渉と並行しなければいけない。海軍艦艇、タンク、戦闘機、ミサイル防衛などに関する議論を進めることができる。軍事訓練監視装置も必要だ。そして無人航空機とロボット、3D(3次元)プリンティングとサイバー戦争など、新技術についても交渉を進めて条約に反映しなければいけない。全域ミサイル防衛は包括的武器条約の一部として扱う必要がある。このように広範囲な軍縮交渉が行われれば、東アジアは世界をリードする模範になることができる。

米国と中国の信頼は平和議論を成功させるための必須条件だ。そのような意味で「オバマ-習近平」の気候変動対応協力宣言は特に重要だ。ところが「再均衡(リバランス)」として知られる米国の政策は誤謬と偏見が内在した接近法であり、早期に是正され、完全に再構成されなければならない。「再均衡」という名のもと、中国を狙った挑発的な構想がむやみに流布している。韓国と日本・豪州などが米国の同盟として中国の浮上を抑える対抗勢力になるべきだとしたり、米国海軍が西太平洋区域で倍に増強されるべきだという主張が大衆の目と耳を幻惑させている。これは東アジアの安保構図をもつれさせ、結局、米国にもブーメランとなって返ってくるはずだ。中国も国際社会の責任の行動基準を受け入れるべきだが、米国も冷戦時代の二分法的な思考の限界を抜け出すことが求められる。軍縮および平和議論は気候変動対応議論と並行されなければならない。気候変動はもう安保の脅威として扱うべきであり、国際社会が共同で対応するのが効果的だという点は明確になっている。気候変動に対する共同対応は軍隊の概念と役割を変え、東アジア地域で平和議論を質的に変更させ、最終的に格上げさせる素材となる可能性がある。軍隊が人類共通の災難への迅速対応組織になることも考えられる。

一部の人はこうした画期的な安保政策の転換が国防に良くない影響があるおそれがあると心配するだろう。しかし基本的な安保革新と創造に対する転換は結局、韓国に有利だ。韓国がもしこうした転換を主導できれば、米国・中国・日本の間で懸け橋の役割だけでなく、軍隊革新の先導者となることもできるだろう。まだ残っている小さな希望の火を生かすことができれば、東アジアが平和と繁栄を先導する地域に変貌するのは十分に可能なことだ。

“統一は選択の問題ではない” (中央日報 2014年12月15日)

中央日報

“統一は選択の問題ではない”

2014年12月15日

エマニュエル・パストリッチ

韓国と北朝鮮は、非武装地帯(DMZ)で分かれてコミュニケーションや人的交流がほとんど不可能だ。しかしDMZが韓国の唯一の障壁だという考えは禁物だ。韓国と北朝鮮にはそれぞれ経済的・理念的な分裂を助長する勢力がすでに登場して共通の未来を妨げている。これらこそが目に見えない危険な障壁だ。1960~70年代の韓国の発展を導いた驚くべき共同体意識も崩れている。このような隣国との文化的・思想的障壁はDMZよりも恐ろしい。

最悪の場合、南北はお金と財貨の流れだけで統合された国に帰結する恐れもある。

南北が自らの意志によったものではなく、両国に投資中の中国・ロシアまたは別の国の発展戦略に巻き込まれて統合されるケースも想定が可能だ。そのような形で統一されるならば、自ら新しい統一韓国の具体的な青写真を作れないまま、すべての水準でさまざまな世代の間の葛藤をそそのかす大変な分裂が後に続くだろう。

韓国社会のすべての水準において統合を実現しなければならない理由がここにある。これを通じて南北のだれもが同等な市民になり、共通の価値観を共有し、互いに責任を負わなければならない。万一、南と北が文化的・社会的統合を実現できなくても現在進行形の経済的統合の流れは止まらないだろう。だが、そのような統一はメキシコと米国の国境のように、今のDMZが非常に搾取的かつ否定的な様相を帯びることになるだろう。

環境的な問題も考えざるをえない。北朝鮮はすでに過度な耕作や森林破壊によって土壌が疲弊している上に気候変化まで重なって相当な面積が恐ろしいほどに砂漠化している。この乾燥地域がDMZを超えて韓国の土地に影響を及ぼせば、そうでなくても不足気味の水不足の事態をあおることになるかも知れない。韓国政府がいくら努力しても韓半島の砂漠化を防ぐには力不足だろう。結局は緊密な協力しかない。

もはや私たちは統一の不可避性を受け入れて、その過程を成功裏にするために必要な具体的な政策を樹立することに専念しなければならない。万一、今この瞬間に韓国社会の内的統合に気をつかわないとしても、経済的統合はずっと続くだろう。しかしそうした無責任な統一は、私たちの社会に分裂を招き、目に見えないそうした分裂はDMZよりもはるかに悲劇的で危険なのだ。

 

“外国人の目に映った「統一大チャンス」” ( 中央日報 2014年 3月 4日)

 中央日報

“外国人の目に映った「統一大チャンス」”

2014年 3月 4日

  エマニュエル・パストリッチ

最近、韓国人の間では「統一大チャンス」が話題だ。しかし外国人はこうした大きなチャンスがどこにあるのかよく知らないようだ。もちろん韓半島(朝鮮半島)の統一は新しい国を建設するという意味で、国際社会と青少年の関心と情熱を呼び起こす可能性がある。統一を成功させるためには、国内と海外の積極的な参加と情熱も必要だ。

しかし南北統一に対する見方からもう一度考え直してほしい。南北統一は韓半島という範疇を越え、世界の未来、国際地政学的にも非常に大きな革新だ。もちろん北朝鮮に埋蔵されている石炭・希土類の地下資源など、統一すれば手に握る利益もある。しかしどのように資源を利用するかによって、必ずしも経済にプラスの影響を及ぼすとは断言できない。

高度に訓練された低コストの北朝鮮労働力を話す人も多い。これは中国や他国との競争を考えれば重要なポイントだ。しかしこれも暫定的な推定にすぎない。むしろ最終的には統一韓国の労働コストが下方平準化される公算が大きい。低コストの北朝鮮の労働力が統一韓国にプラスになるという予測は、長期的には政治的な判断ミスとなる可能性もある。何よりも上で挙げた長所は、韓半島の統一に向けた国際社会の協力を引き出すには力不足だ。

むしろ韓半島統一の重要性は前世紀に我々が一度も目撃したことがない大規模な実験というところにある。新しく国家を建設し、途方もない革新が伴うからだ。多くの人がドイツ統一と比べて韓半島統一の条件ははるかに劣悪だと考えている。これは逆に、韓半島統一が引き起こす変化の深さがドイツ統一とは比較にならないほど甚大であることを意味する。

統一すれば韓国政府が極度に貧しい北朝鮮の数百万人の住民の生活を抱え込むという懸念もある。しかしこれは統一という挑戦に臨む正しい応戦態勢ではない。最近ソウルで開かれたアジアインスティチュートのセミナーで、国際関係専門家のジョン・フェファー氏はこのように強調した。「韓半島統一は富国と低開発国を一つの国として統合する歴史的なものとなるだろう。もし統一韓国が文化・社会領域での改革を通じて成功的な解決策を提示すれば、これは世界のための一つのモデルになるだろう」。

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“ある“アフリカ系韓国人”の悲哀”(中央日報 2014年 4月 1日)

中央日報

“ある“アフリカ系韓国人”の悲哀”

2014年 4月 1日

エマニュエル・パストリッチ

 

筆者の慶煕(キョンヒ)大学同僚であるエド・リード教授が、この前仁川(インチョン)空港で目撃した光景について聞かせてくれた。ある黒人が出入国審査場の“韓国人”審査台の列に立って待っていた。親切にも3人の韓国人が順に彼に近付いてそばにある“外国人”専用窓口側の列に移るよう言ったという。とても不快そうに見えたが、頑固に立ち続けていた。やがて彼が出入国審査を受ける番がきた。実はその“黒人”は大韓民国の国籍を持つ堂々たる韓国人だった。

韓国で“多文化”は普通、東南アジアや中国出身の外国人妻と韓国男性がつくる家庭だけを指し示す用語として誤って通用している。もちろん彼らもまた韓国文化の一員として受け入れなければならない。しかしこれらの家庭だけが多文化というのは明らかに語弊がある。韓国社会で多文化は、ほかの文化を吸収して統合できる包容的な文化を作ることを意味しなければならない。多文化の基盤は、外国人を受け入れて変化させるだけでなく、海外同胞、養子さらに北朝鮮同胞までも抱く包容的な文明でなければならない。

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“大韓民国、使い捨て社会から脱却したら” (中央日報 2014年 6月 3日)

中央日報

“大韓民国、使い捨て社会から脱却したら”

エマニュエル・パストリッチ

2014年 6月 3日

 

私はコーヒーが本当に好きだ。ところでカフェでコーヒーを注文する時は困惑している。コーヒー自体は、やはりおいしい。ところでこのコーヒーが紙コップの服にプラスチックの帽子をかぶり、時には紙のベルトまでつけて現れる。ここに5~10枚のナプキン、砂糖とクリームをかき回すスティックを伴う。ときおりウェットティッシュと宣伝用のビラまでついてくる。

資源枯渇のこの時代に、韓国で途方もない物質の浪費を見るのは苦痛だ。特に残念な点は、多くの韓国人がそういう習慣が誤っていると認識さえできないということだ。スタッフもやはり顧客にこんなに多くの使い捨ての物が必要なのかを尋ねず、店舗内で飲む顧客にも、紙コップの代わりにマグカップを使うかを尋ねない。最初からマグカップを洗う空間をなくしてコストを節約する店も多い。 

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“漢江の奇跡…その裏の歴史を知らせよう” (中央日報 2014年 7月 14日)

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“漢江の奇跡…その裏の歴史を知らせよう”

エマニュエル・パストリッチ

2014年 7月 14日

 

ドイツ自動車のテレビ広告は似たパターンが多い。車1台がスピーディーに森の道をあっという間に走り抜け、古風な邸宅の前に軽く止まる。その時、他の自動車ブランドでは見られない、ドイツ車特有の精巧さを誇るドイツの独歩的なエンジニアリング技術に関する説明が続く。

このような広告は、ドイツがグーテンベルクによる世界初の大量聖書印刷にまで遡る科学とエンジニアリングの驚くべき伝統を持つという事実を、誰もが知っているからこそ通用する。それだけではない。マックス・プランク、アルベルト・アインシュタイン、そしてプログラミングが可能な最初のコンピューターを発明したコンラート・ツーゼなど、傑出した科学者を排出した国がドイツだ。ドイツのエンジニアリング技術レベルは、こうした広告を見る人にあえて説明しなくてもよいほど十分に知られている。簡単に言えば、ドイツのエンジニアリングは別に注釈を付けなくてもよいほど信頼が構築されているということだ。 

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